急性中耳炎

急性中耳炎の原因はな~に??

耳穴の奥には鼓膜があり、耳穴から鼓膜までの通路(鼓膜の外側)は外耳道(がいじどう)と呼ばれ、鼓膜の内側は中耳と内耳に分かれます。

その鼓膜の内側には鼻と耳をつなぐ耳管(じかん)と呼ばれる管があります。

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耳管は通常は閉じているものですが、つばを飲み込んだり、口を開けたりした時に、鼻から耳に空気が入ります。(よく電車に乗っていて、トンネルに入って耳が詰まった時に唾を飲みこむと治りますよね?あれが正に鼻から耳管を通して耳に空気が入っているのです。)

かぜをひいたあと、細菌やウイルス感染が起こり、鼻の奥で増殖し、耳管を通して感染が中耳腔(ちゅうじくう・・・鼓膜の奥の空間)に及んで起こるものです。 (右図)

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中耳炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります。)、モラキセラ・カタラーリス、黄色ブドウ球菌などが主なものです。一部、ウイルスによる単独感染の場合もあります。

最近は薬の効かない耐性菌も増加しています。
また、胃酸が逆流して(逆流性食道炎)中耳腔に悪影響を及ぼし、中耳炎の悪化の原因となることもあります。

よく言われる、プールの水やお風呂の水が入ったことが原因となることは通常起こりえないものです。
鼓膜に穴(慢性穿孔性中耳炎)があいていない限りは耳の外からいくら菌や水が入っても中耳炎の原因とはなりません。

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急性中耳炎の症状はどんなもの??

具体的な症状としては、耳の痛みや耳閉感(じへいかん・・・耳の詰まった感じ)、耳だれ、難聴、発熱などがあり、発熱は乳幼児の場合によくみられます。

乳幼児では39~40度の高熱になることもあり、熱がなかなか下がらない場合、しきりに耳を触ったり、泣いたり、不機嫌になった場合は急性中耳炎を疑う必要があるでしょう。

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乳幼児や小児では、鼻と耳をつなぐ耳管(じかん)は太くて短く、水平であるため鼻が出たり、炎症がのどにあればそれらの細菌やウイルスが広がりやすい状態となるので乳幼児のお子さんに発症が多くなるわけです。

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急性中耳炎のウソホント

急性中耳炎は、どんな時期にかかりやすいのですか?
よく、「夏のプールの時期に多くなる」と言われますが、それは完全な誤りです。風邪をひくケースの多い冬や季節の変わり目に多く発症します。

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放っておいても急性中耳炎のは治りますか?

軽症であれば、放っておいても治る場合もあります。ただし、抗生物質のない戦前までは急性中耳炎は死に至ることもある病気でした。急性中耳炎は早期に治療を行わないと鼓膜の内側に膿(うみ)が溜まり続けて、滲出性中耳炎に移行したり、鼓膜を破って耳だれが出つづけて、慢性の穿孔性中耳炎に移行することがあります。
稀に髄膜炎や脳症状(嘔吐・意識障害・痙攣)まで起こすことがあります。
そうならないためには、耳が痛くなったり、そして鼻風邪をひいた場合には耳鼻咽喉科を受診して頂き、しっかりと完治するまでは通院されることをおすすめします。

痛みが治まれば病院には行かなくても良いのですか?

痛みがなくなっても、炎症が完全に消失したわけではありません。急性中耳炎の炎症が抗生物質や鎮痛剤によってある程度治まっても、鼓膜の奥(中耳腔)に水がたまる滲出性中耳炎になってしまうケースが少なくありません。滲出性中耳炎になると、耳の聞こえが悪くなったり、放置した場合、鼓膜が永久にへこんで後ろの壁とくっついて、癒着してしまうこともあります。(完全に癒着してしまった場合は手術しなければ治りません。)
滲出性中耳炎はアレルギーやちくのう症とも関係があり、耳だけの治療では多くの場合不十分です。また急性中耳炎の治療が不完全だと、滲出性中耳炎だけでなく、慢性穿孔性中耳炎(鼓膜に穴があき、耳だれが出る病気。)になったりする場合もあります。また中途半端な治療は耐性菌(薬が効かない細菌)を増やし、その後の治療をむずかしくさせます。

耳鼻科医師に完全に治ったと言われるまでは、自己中断せずにしっかりと通院しましょう。

もちろん社会人の方で仕事が終るのが遅かったり、お母さん方が忙しく、子供を医院に気軽に通院させられない状況があることは理解できますが、なるべくしっかりと通って頂くようにお願い致します。頻回な通院が難しい場合は医師にお気軽にご相談ください。子供達の未来の為に、なるべくご要望に沿った治療を行いたいと思います。

急性中耳炎の鼓膜の切開についてどのように考えるべきでしょうか?

鼓膜の切開について

私は高熱が続く場合、抗生物質が効かない場合は、鼓膜切開は行うべきだと考えています。局所麻酔を行ったあと、鼓膜にメスを入れ、内部に溜まる膿や貯留液を排出し、熱を下げたり、中耳の換気を行うことを目的に行うものです。

鼓膜切開を行う時期については耳鼻咽喉科専門医の間でも見解が分かれる面があります。

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私は高熱が続く場合、抗生物質が効かない場合は、鼓膜切開は行うべきだと考えています。

ただし、それによって耳鼻咽喉科を受診する際に治療に時間がかかるなど恐怖心などが生まれることが予想されるお子様の場合には、それらを勘案した上で判断するようにしています。

鼓膜切開と聞くと大変痛いイメージがありますが、局所麻酔薬を使えば、ほとんど痛みはありません。当院ではイオン麻酔器を用いて麻酔を行っております。年齢により麻酔時間は異なりますが、5~10 分間程の間、耳に薬を入れて、横になって寝ているだけで終わります。小さなお子様は恐怖心で暴れてうまく麻酔ができない場合がありますので、ご家族の方に動かないように、しっかり抑えていただきます。

一度だけの切開では完治せず、何回か切開を行う場合もありますが、鼓膜は再生能力が強いので、繰り返し行っても心配ありません。切開した穴は、通常3~4 日で閉じます。
(切開した当日や、その後数日間は、血の混じった耳だれが出る場合があります。)

なお、鼓膜切開すると中耳炎がクセになると言う噂があるようですが、それは迷信と考えます。

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急性中耳炎の治療法は?

① 風邪などの原因となる中耳炎は、鼻やのどの炎症から起こりますの鼻水の多い時には鼻の治療を、そして咳やのどの痛みがあるときにはのどの治療をして、耳管の入り口を清潔にしなければなりません。

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② 通常、完全に治るまでには2~3 週間程度はかかりますので、最低2~3 週間の診察、お薬が必要です。
(乳幼児は免疫力が低下するため、冬季はもっと治療期間が長引くこともあります。また、集団保育のお子様は一般のお子様よりも長引く傾向があります。)

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③ 痛みがなくなったとしても、多くの場合中耳炎は完治していません。中途半端な治療では鼓膜の内側にウミが残って難聴(滲出性中耳炎)になったり、慢性穿孔性中耳炎になることがあります。

④ 普通、毎日通う必要はありませんが、中耳炎のなり始めや耳だれが出ている場合、鼓膜切開の後などは頻回に通院していただくこともあります。

⑤ 入浴は、耳痛、発熱のある間は、控えて下さい。

⑥ 中耳炎は鼻やのどの炎症から起こるものです。鼻みず、鼻汁多い時には鼻の治療、咳やのどの痛みがある時は、のどの治療が必要です。鼻やのどの治療(鼻・のど処理、ネブライザー)が有効ですので、鼻・のどの治療に受診して下さい。

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⑦ スイミングや運動は、医師の許可が出るまでの間は、控えて下さい。

⑧ 乳・幼児の場合には、免疫が十分に発達していないため、体質によってはくり返し再発し、また完治までには長期間要する場合があります。(特に集団保育のお子様はその傾向が強いです。)

⑨ 風邪の症状の後に急性中耳炎になりますので、小児科などからお薬の出ている場合にはお知らせください。

⑩ 鼓膜切開についてはこちらをご覧ください。

⑪ 上記治療を行っても改善されない場合は、通院や入院で抗生物質の点滴治療を行ったり、緊急的に鼓膜ューブ挿入術を行うこともあります。

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赤ちゃんの急性中耳炎

なぜ赤ちゃんは急性中耳炎になりやすいのか?

中耳炎の原因は、お鼻の細菌が耳管(耳と鼻をつなぐ管)を通って中耳に到達し、それによって引き起こされることは前にご説明いたしました。
その他に赤ちゃんの場合はおしゃぶりや指しゃぶりを行うことで耳管の圧力変化を起こしやすく、風邪などの後で、中耳炎の原因となることもありますし、飲んだミルクが逆流して、細菌と一緒に中耳に流れ込み中耳炎になるという説もあります。(通称:ミルク性中耳炎)赤ちゃんの耳管は、大人に比べて太く、そして短く、なおかつ水平に近いのです。

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そうなると、分かりやすい話ですが、細菌が耳まで到達しやすいのです。ですから赤ちゃんは大きな子供や大人に比べるとどうしても急性中耳炎にかかりやすくなってしまうのです。
また、赤ちゃんは免疫学的に未発達の段階ですので、風邪などの感染症を免疫能により抑えることができず、急性中耳炎にかかりやすく、さらに中耳炎を反復あるいは長引かせるケースが多いとされています。そして、特に生後6 カ月から18 か月の間が最も発症する率が高いのです。

赤ちゃんの発信する急性中耳炎のサイン

  • □ なかなか熱が下がらない
  • □ 四六時中機嫌が悪い、泣き止まない
  • □ 耳元に耳だれが付着している。
  • □ 食欲がなくなる。
  • □ 呼びかけに反応しない。
  • □ しきりに耳を触る
  • □ 粘っこい鼻水(青っぱな)が長期間出ている

上記のような場合は中耳炎の発症のサインです。はやめに耳鼻咽喉科に受診するようにしてください。

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⇒クリニックでの赤ちゃんの中耳炎への治療法
赤ちゃんだからといって特別に変わることはありません。基本的には一般の小児と同様に抗生物質や消炎剤、風邪の症状があれば風邪薬などを内服させ、鼻や喉の処置、ネブライザーなどを使用しながら治療を行います。改善が無ければ鼓膜切開も行う事がありますし、長期にわたれば鼓膜チューブ挿入術を行う事もあります。なお、高熱があり夜になって泣くような場合であれば、救急外来が近くにあれば治療を受けてください。

赤ちゃんの急性中耳炎の予防法

① 風邪をひいて鼻が出てればこまめに吸ってあげる。(市販の鼻の吸引器で構いません。ただし、強く吸いすぎないようにしてください。)

② 肺炎球菌ワクチンは中耳炎の発症を抑えると言われていますので、積極的に接種しましょう。ただし、Hib(ヒブ)ワクチンは残念ながら中耳炎の予防という意味ではその効果が疑問視されています。

③ おしゃぶりや指しゃぶりは精神の安定という点では良いのですが、中耳炎のリスク要因と成り得ますのでご注意下さい。

④ 母乳栄養は中耳炎の発症を抑える効果があります。人工栄養のみの乳幼児は、母乳栄養のみの乳幼児に比べて2 倍の発症リスクがあるという報告があります。

⑤ 赤ちゃんのそばでのタバコは止めましょう。
受動喫煙によって粘膜が悪化し、中耳炎を悪化させる原因と成り得ます。

⑥ 保育園に通っている赤ちゃんで頻回に風邪をうつされる場合は思い切って休園しましょう。経済的な面でご家庭にとって困難かもしれませんが、お子様にとっては一生の問題となりますので御理解頂きたいと思います。

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⑦ 風邪を引いた場合、早めに耳鼻咽喉科専門医を受診するようにしてください。特に以前中耳炎をおこしたことがあれば必ず受診するようにしましょう。

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